アニメ音楽年代記

サントラ盤を中心としたアニメ音楽の昔話

魔法の天使クリィミーマミ

1.魔法の天使クリィミーマミ オリジナル・サウンド・トラック

 リン・ミンメイと来たら次はクリィミーマミというのがお約束でしょう。

 はっきり言って、『マミ』のTVシリーズはほとんど見ていません。今も昔も読売テレビは自局のアニメ番組の製作には熱心でも日本テレビ製作のアニメ番組の放映には冷淡なので、マミの放映はとてもみられる時間ではありませんでした。*1
 記憶に残ってるのは大学受験前の自宅学習期間に見た「ふしぎな転校生」と「優のフラッシュダンス*2ぐらいですね。どちらもマミというより優ちゃんの方に焦点を当てた回のような感じです。
 マミと言う作品に本格的に触れたのは『永遠のワンスモア』がTV放映された時でした。(読売テレビでもちゃんと放映してくれました) その後、『ロング・グッドバイ』以降のブームの時に出たビデオをレンタル店で借りて、一部のエピソードだけですけどTVシリーズの作品を見ることが出来ました。

 マミと言ったらやはり太田貴子の歌が頭に思い浮かびますが、馬飼野康二*3の劇伴音楽も、明るくてポップな曲がクリィミーマミの世界を作り上げていたように思います。
 『ロング・グッドバイ』の音楽は山中のりまさ氏でTVシリーズとは雰囲気の違う本格的な劇伴として作られていますが、それはまた後に取り上げます。

 サントラ盤*4の発売は徳間ジャパンから。『宇宙戦艦ヤマト完結編』でアニメージュレーベルを引っ提げて本格的にアニメサントラに入ってきましたが、現在では宮崎作品の音楽のイメージが強いところなので『風の谷のナウシカ』以前と以後とはイメージが違います(これは雑誌の『アニメージュ』も同じだけど)。マミの頃は新人アイドルを使った普通のアニメアルバムを出してるという感じでしたね。

  A1.デリケートに好きして
   2.フェザースターの舟
   3.ホップ・ステップ・ジャンピング~
   4.水玉のパジャマ(パジャマのままで)
   5.優のクリィミーマミ
   6.うきうき・エンジェル~ラブミー・エンジェル
   7.さみしい顔は見せないで
   8.ポジ・アンド・ネガ

  B1.クリィミーサンバ(パジャマのままで)
   2.ラストキッスでGood Luck!
   3.光のマジックゲーム
   4.スペース ハリケーン
   5.メランコリックなあなた
   6.魔法のダンシング
   7.夢見る気分で
   8.素顔の優ちゃん(デリケートに好きして)
   9.パジャマのままで

 A1は太田貴子の主題歌です。新人アイドルのデビュー曲ということで、当時としてはいわゆるアニメソングっぽさを外したアイドルソングになっていますが、今聞けば、すでに典型的なアニメソングとなっている感じです。(アニメソングそのもののイメージが変わってきましたからね)

 A2は優が魔法をもらうきっかけとなったフェザースターの舟の音楽ですが、神秘的とかいう感じはなく、日常的でどこかノスタルジックな感じのする曲です。優が魔法を返す最終回の使われ方が印象的でした。

 A3は優が駆け回ってる場面とか日常のドタバタ劇に使われたBGMを集めたものです。後腐れの無いポップな明るさと言うものが感じられていいです。単に明るいドタバタの音楽ならいくらでもありますけど、爽快感を併せ持ってる音楽は少ないですからね。

 A4はエンディング曲のアレンジですが、競馬の音楽を思い浮かばせるリズムが特徴です。『永遠のワンスモア』で(セントラル競馬場で行われた)ファイナル・ステージの直前に流れていたのが印象的です。

 A5は優の視点からマミと言う存在を歌ったイメージソングです。本編で使われたかどうかは定かでは無いけど、マミのミュージックビデオ『ラブリー・セレナーデ』には入っていましたね。

 A6はマミの登場シーンの音楽ですね。前半はコンサートなんかでマミが登場するシーンの音楽に使われていたように思います。確かTV版のファイナル・ステージもそうだったかな。後半はもうちょっと神秘的な登場シーン。最初に優がマミになった時なんかも使われていたのかな。ラストで魔法を失った優が俊夫の前に現れるシーンも印象的です。

 A7はどことなく寂しさを感じさせる曲ですが、メロディーが美しくて心に和む音楽です。ガットギターのように聞こえるのは多分シンセだと思うけど、マミの音楽の中ではかなり好きな曲ですね。

 A8はフェザースターから来た2匹のネコ、ポジとネガのテーマ曲ですが、かなりコミカルな曲になっています。この2匹じゃなくても、街なんかをぶらぶらと歩いてるシーンには似合いそうです。

 B1は文字どおりエンディング曲をサンバ調にアレンジした曲です。原曲はそれほど明るい曲ではないのですが、見事に南国の太陽が似合う明るい曲になっています。かなり聞き覚えはあるのですが、具体的に使われたシーンはちょっと思い出せません。

 B2はマミの所属するパルテノンプロの先輩アイドル歌手、綾瀬めぐみの歌です。歌っているのは島津冴子ですが、この当時の太田貴子よりはうまいですね。でも、マミ放映の1年の間にマミの曲はたくさん出たのに、めぐみさんの曲はこれ1曲だけだったのが寂しいですね。

 B3はシンセを使ったME的な曲ですが、よくわかりません。

 B4はサスペンス感あふれるスリリングな曲ですが、単調ではなく結構複雑な展開をしている聞き応えのある音楽ですね。『ロング・グッドバイ』で優が突然マミに変身してしまうシーンが印象的です。

 B5はあまりメランコリックな感じはしないんですけど、その代わり春の日だまりの中の何となく物憂げな感じがする曲です。なかなかメロディーの良い曲ですけど、どこで使われていたかはわかりません。

 B6はダンシングというより、事件の展開の流れを追って行くようなイメージがする曲です。もちろんリズムなんかはダンス音楽的なものですけど、メロディーが不安定なので、効果的な音楽にしか使えないようでもったいないですね。この曲は『永遠のワンスモア』で優たちがプロジェクトMの秘密を探るために行動を開始した辺りに使われていたのが印象に残っています。

 B7はマミの音楽では珍しくストリングス主体の音楽です。ちょっと現実から離れた幻想的なイメージを感じさせる曲です。

 B8はオープニング曲のアレンジです。少しバラード調のスローテンポな曲になっていますが、その分メロディーの美しさを十分聴かせてくれます。『永遠のワンスモア』でファイナル・ステージ後、魔法を失った優が俊夫の前に現れてから、新作のストーリーに入るまでの間に使われていたのがこの曲だと思いますが(ひょっとしたらTV版のラストの方かな)、1年続いたマミの物語を締めくくるのに十分印象的な曲でした。

 B9はシリーズ前半のエンディング曲です。後半は「LOVEさりげなく」に変わってしまいましたが、最終回は再びこの曲が使われていました。「LOVEさりげなく」が完全にマミの曲であるのとは反対に、この「パジャマのままで」は優の気持ちを表わしているような部分もあるので、最終回で優が魔法を失い、普通の女の子に戻った後のエンディングは、やはりこの曲の方が似合っていたのでしょう。

------------------------------------------------------------------------
2.クリィミーマミ ファイナル・ステージ

 リン・ミンメイが既製のSFロボットアニメというジャンルから作り出されたアイドルであるのに比べると、クリィミーマミはむしろ現実のアイドルの世界が魔法少女アニメと言うジャンルに投影された存在のように思います。
 演じている声優にしても、飯島真理があくまで歌手デビュー前のシンガーソングライターの卵だったのとは対照的に、太田貴子はこの作品と同時にデビューした新人アイドルでした。リン・ミンメイの歌はあくまでリン・ミンメイの歌であり、現実の飯島真理とは別物でしたが、クリィミーマミの歌は同時に太田貴子の歌でもあったのです。

 アニメソングを新人歌手のプロモートに使うというのは、この当時から現在まで数多くありますけど、アニメ番組そのものを新人歌手のプロモートに使うというのはそれほど多くありませんが、この『クリィミーマミ』から始まって『アイドル天使ようこそようこ』あたりまで、幾つか存在します。中にはアニメ放映中に早々と廃業してしまった例もありますので、実際どれだけ効果的かはわかりませんが、その草分けとなったのが『マミ』でした。

 デビュー当初の太田貴子の歌は「デリケートに好きして」を聞けばわかるように、決して飛び抜けて歌が良かったわけではありませんけど、次々と新曲が出るに連れて、だんだんとパワフルで魅力的な歌声になってきました。『クリィミーマミ』の物語はそうした太田貴子の成長の記録でもあるのです。
 そして、その1年間の総決算がTVシリーズ最終話のファイナル・ステージでした。この時のマミの歌を順に挙げると、次の通りです。

   1.BIN♥KANルージュ
   2.美衝撃
   3.囁いてジュテーム
   4.パジャマのままで
   5.LOVEさりげなく
   6.デリケートに好きして

 1はマミの代表曲と言って良いくらいの名曲で、『ロング・グッドバイ』ではめぐみさんがバスのカラオケで歌っていたのが受けていましたね。セカンドシングルの曲です。

 2は『永遠のワンスモア』でエンディングに使われていましたが、「LOVEさりげなく」のB面の曲です。

 3は「BIN♥KANルージュ」のB面曲なのですが、なぜかマミ関連のLPには収録されていない、幻の曲です。けっこう好きな曲なんですが……*5

 5は2代目エンディングに使われていたサードシングルの曲です。レコード版も良いのですが、「私のすてきなピアニスト」の回に使われていたピアノ・バージョンが聞き物ですね。ただし、ピアノ・バージョンはレギュラー声優の中にピアノが弾ける人*6がいて、アフレコ現場で直接録音したみたいなので、音源としては残ってないようです。

------------------------------------------------------------------------
3.デリケートに好きして (21st century ver.)(2019年おまけ)

 時は流れて21世紀になってから太田貴子自身によるマミ曲のセルフ・カバー盤が出ました。*7

   1.デリケートに好きして (21st century ver.)
   2.LOVEさりげなく (21st century ver.)
   3.BIN♥KANルージュ (21st century ver.)
   4.ハートのSEASON (21st century ver.)
   5.Zutto Kitto Motto (優と俊夫のデュエットver.)
   6.デリケートに好きして (Nao Remix)
   7.BIN♥KANルージュ (Lightin' grooves Remix)
  (8~12.1~5のカラオケ)

 1は『ロング・グッドバイ』のOP曲。
 5はもともとは『マミ』のLD-BOXに特典として収録されてた太田貴子のソロ曲*8を、俊夫役の水島裕とのデュエットにしたもの。
 6、7は1、3をクラブ系にリミックスしたもの。ボーナストラック扱いでも、この手の収録は好き嫌いが分かれるところです。
 以下は主に馴染みの深いマミ曲の1~4について。

 全般的にアレンジはオリジナルのアレンジをそのまま今風に再アレンジした感じで、マミの曲としての違和感はありません。ただ「デリケートに好きして」は太田貴子自身が当時の歌い方に合わせようとしてるのにちょっと苦しさを感じたりします。
 一転して「LOVEさりげなく」以降はロックシンガーとしての経歴を経た太田貴子のボーカルの力強さがストレートに反映されて、純粋にパワーアップされた21世紀のマミのボーカルとして楽しむことが出来ます。

 前回の『超時空要塞マクロス』で取り上げた『MARI IIJIMA sings LYNN MINMAY』が、あくまで飯島真理がカバーしたリン・ミンメイの曲って印象だったのと比べると、こちらはクリィミーマミの歌そのものが大人になったマミによってカバーされているって感じがします。

 ここ10年ばかり割と『マミ』が取り上げられることが多く、このセルフ・カバーの後にも『公式トリビュートアルバム』*9が発売され、ここにも何曲か太田貴子によるセルフ・カバー曲や新曲が収録されています。
 当時のぴえろ魔法少女を見てきたファンとしては『マミ』以外の『ペルシャ』とか『マジカルエミ』とかも取り上げてほしいって気がしますが、現実的には難しいでしょうね。*10

------------------------------------------------------------------------
(記事初出 ニフティサーブ・アニメフォーラムマガジン館 95.04.24)

f:id:animepass:20190329181646j:plain


 

TVシリーズサントラ盤
現行商品はこれ。1枚目が既製のサントラで、2枚目がDJ形式のドラマ編

BEST COLLECTION 魔法の天使クリィーミーマミ



サントラのみの旧製品。中古で安く手に入れるなら。

魔法の天使クリィミーマミ



30周年記念のBOX商品。TVシリーズのサントラ、ドラマ編、『ロング・グッドバイ』のサントラ、ベスト盤『カーテンコール』、ベスト盤『名作アニメ総集編』、『クリィミータカコ』のDVD、カラオケの入ったボーナスディスク付きのセット。収録曲のダブりが半端ない……

クリィミーマミ サウンド・メモリアルBOX(DVD付)



ミュージックビデオと同じタイトルのベスト盤『カーテンコール』。廉価盤の現行商品なので入手しやすいところ。

魔法の天使クリィミーマミ SONG BOOK・カーテンコール



上のBOX商品にも収録されている『名作アニメ総集編』。BOXのものはLP版の復刻みたいですが、こちらのCD版は3曲(2曲はBGM)多くて収録順も違っています。
マミのベスト盤としては『カーテンコール』よりも収録曲が多い(「優のクリィミーマミ」と「ラストキッスでGood Luck!」)のでお得。(ただしLP版は「I CAN SAY "BYE BYE"」が未収録)

「魔法の天使クリィミーマミ」総集編



21世紀新録のセルフ・カバーバージョン

デリケートに好きして(21st century ver.)



最近の声優さん等によるカバー。太田貴子島津冴子のセルフ・カバーもあり。

魔法の天使クリィミーマミ 公式トリビュートアルバム



「囁いてジュテーム」が入ってる太田貴子のベスト。『公式トリビュートアルバム』で井口裕香がカバーしてる「天使のミラクル」(「あなたに一番効く薬」のA面曲)も収録。

太田貴子 ベストコレクション



「囁いてジュテーム」収録の、ぴえろ魔法少女シリーズのベスト盤。『ハーバーライト物語』『ファンシーララ』までちゃんと入ってるのが良いです。

アニメージュ 魔法少女コレクション ぴえろ魔法少女シリーズ・ソング集

*1:平日の朝の11時だったり7時半だったり……。当時はまだビデオデッキは持ってなかったし、通学距離が長いから7時半には家を出ていたし……
そういうのが後々までずっと続いていて『機動警察パトレイバー』とか『ミラクル☆ガールズ』が早朝に放映されたり……まあそれでも放映されなかったいくつかの番組よりはマシですけどね。
で、今に至るも日テレ製作の深夜アニメが放送される確率は半分ぐらいかと。

*2:数少ない中にこれが入っていたことが、後に道を誤ってしまった原因なのかもしれません。あの怪獣とかに扮する三等身のかわいい優の原画を描いたアニメーターの高木弘樹さんも昨年(2018年)に亡くなられてしまいました、嗚呼…

*3:魔法少女シリーズでは『魔法の妖精ペルシャ』や『魔法のアイドル パステルユーミ』の音楽も手掛けています。他には『おはよう!スパンク』とか『劇場版エースをねらえ!』あたりが有名なところ。それよりも70~80年代の歌謡曲を幅広く手掛けていることで知られています。自分が名前を知ったのも河合奈保子の曲なんですね。

*4:魔法の天使クリィミーマミ オリジナル・サウンド・トラック盤』(ANL-1010 83.--.-- ¥2,500)

*5:CD時代になっても『マミ』のベスト盤等には長く収録されず、『クリィミータカコ』等の太田貴子のアルバムを探す必要がありました。最近(といっても、ここ20年ぐらいで)出てるベスト盤には入ってるようですが。『公式トリビュートアルバム』では笠原弘子がカバーしてるのが聴けて幸せです。

*6:後番組の『魔法の妖精ペルシャ』で真鍋よよこ役をやっていた星野桜子(現・稀代桜子)さんだという話が、昔出てた『マミ』のムック本に載っていました。『マミ』では番組レギュラーのような形でゲストキャラの役をいろいろやられてたようです。『ペルシャ』で沢木研二が弾いていた「見知らぬ国のトリッパー」のピアノソロもこの人の演奏のようです。

*7:『デリケートに好きして (21st century ver.)』(KDSD-00250 08.12.24 ¥2,095)

*8:同様に『ペルシャ』『マジカルエミ』『パステルユーミ』のLD-BOXにも同様に特典として太田貴子のオリジナル曲が収録されていたのですが、それっきりで長い間CD化等はされていませんでした。これらは後に『魔法のステージ ファンシーララ』の全巻購入特典CDに収録されたのですが、未だに一般発売等はされていないようです。

*9:魔法の天使クリィミーマミ 公式トリビュートアルバム』(XNAE-10037 11.02.09 ¥2,381)

*10:すでに主演声優や主題歌歌手が引退・物故してる作品が多いので。『マミ』がやれているのは太田貴子が現役復帰してくれたからという面が大きいでしょうね。